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教員コラム

所 俊志|2020.07.14VIEW 1,320

理想のうんこは理想の腸内環境から

理想のうんこは理想の腸内環境から

理想のうんこはどんな状態か知るには、体やうんこの仕組みを知り、免疫学、微生物学を学ぶ必要があります。

大腸では食べ物の残りを含む液体(うんこの素)から水分を吸収し、適度な水分量のうんこを作っています。肌の水分は40~50%が理想ですがうんこは70~80%。これを保つとバナナみたいに伸びた理想の状態になります。

また食物繊維も重要で、うんこの素の中に少量だと硬くなって大腸が適度に運動できず、水分を吸収しすぎたり運ぶ力が弱まったりします。不溶性のものは膨らんで大腸の動きを活発化。水溶性のものは腸内の水分を取り込むと共に腸内細菌の餌になり、消化されてできた短鎖脂肪酸が大腸の動きを良くします。よって両方の食物繊維をバランス良く摂り、腸内善玉菌(乳酸菌等)を含む乳製品も摂ると腸内環境が整い便秘改善に繋がるのです。

困った時に頼りになる整腸剤はこの腸内善玉菌の中で胃酸に比較的強いものを製剤化した薬で、生きた菌を腸へ届けて環境を整えます。これらの菌株は食物繊維を分解(発酵)し、乳酸等の短鎖脂肪酸を産生してpHを下げ、有害細菌が増殖しづらい環境に導くのです。

また腸の運動を活発化して免疫系にも影響を与え、腸内環境を整える役割も果たします。一方酸化マグネシウムを含む便秘薬は、腸管内の浸透圧をあげて腸管壁から水分を引き込み、軟便にして膨らませることで自然に近い排便をもたらすもので、タイプが異なります。

腸は栄養素や水分等を吸収する役割を担う一方で、有害な病原微生物等に曝されています。そのため様々な微生物と共生し、必要な物を取り込みながら有害物を排除する非常に柔軟な免疫系が備わっています。ヒトが生存するには持続可能な腸内環境を守る必要があり、ヒトの免疫系と微生物がバランスを保って共存することが求められます。これからは食物繊維、乳製品、水分の摂取を心がけて、理想のうんこをつくりましょう。

執筆教員紹介

職位・学位:講師・修士(薬学)
氏名:所 俊志
専門分野:微生物学、免疫学分野(腸内細菌叢、粘膜免疫)
担当科目:アカデミック基礎セミナー、薬学基礎実習、生物系実習

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