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教員コラム

稲垣 直樹|2020.07.16VIEW 113

私達を悩ませる「かゆみ」のお話

私達を悩ませる「かゆみ」のお話

かゆみは誰もが日常的に経験したことのある悩みではないでしょうか。「ひっ掻きたい衝動を引き起こす不快な感覚」と表現され、皮膚と一部の粘膜だけに備わった曖昧な感覚とされています。

その原因は、身近なところでは日焼けの後や皮膚に何かが触れたときなど様々ですが、ひどいかゆみとなりやすいのは蕁麻疹やかぶれ、アトピー性皮膚炎といったアレルギー性皮膚疾患だと思います。アレルギーというのは、侵入した異物を排除して生体を守る免疫の仕組みが、不快な症状を誘発することを指します。ですからアレルギーによるかゆみも、本来ならばひっ掻き行動によって異物排除の反応が増強され、排除の方向へ促進されるべきなのでしょう。ところが実際は、ひっ掻くことで皮膚のバリアは破壊され悪化してしまうのです。

これまでかゆみという症状は、痛みと比較すると治療対象として重要視されてきませんでした。しかし、ひどいかゆみを伴う患者さんの場合は睡眠が妨げられるなど、日常生活もままならなくなるほどの深刻な問題です。一方で掻くことによる極上の心地よさには「脳の報酬系」という部位が関わっており、ひっ掻きたい衝動を抑えることは難しいとも言われています。けれどもかゆみを抑えることができれば、皮膚症状は改善していくのです。

今まではかゆみを引き起こす物質・ヒスタミンに対して抗ヒスタミン薬が治療に用いられてきましたが、アトピー性皮膚炎などの激しいかゆみには十分な効果が認められませんでした。それを受け、安全性を考慮しつつ治療をするためには末梢性のかゆみを直接制御することが適切だとして、現在はメカニズムや薬の研究が進められています。2人に1人が何らかのアレルギーを患っているとされる日本。アレルギー疾患によるかゆみで悩む患者さんのためにも、創薬・医薬品の開発、効果的な処方などに薬学が役立てられています。

職位・学位:教授・薬学博士
氏名:稲垣 直樹
専門分野:薬理学分野(免疫薬理学・アレルギー学)
担当科目:薬理学Ⅰ-Ⅲ、薬理系実習、薬理系薬学演習

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