資料請求はこちら

       

HOME > 研究者紹介 > 衛生薬学系研究室 > 水環境による健康被害発生の予防に関する研究

 

衛生薬学系研究室

濱武 通子|2020.08.01VIEW 653

水環境による健康被害発生の予防に関する研究

衛生学は個人および公衆の健康維持・向上、疾病予防などを目的とする学問です。衛生学の中でも、環境衛生学、公衆衛生学に関する研究を行っています。

私たちの生活環境である大気、水環境、土壌環境を調査し、例えば、暑さ対策のドライミストの衛生管理などの水環境による健康被害発生の予防に関する研究を行っています。 

近年、気温の上昇、熱中症リスクの増加など、気候変動の影響が全国各地で起きており、さらに今後、長期にわたり拡大するおそれが懸念されています。これらの現象を抑制するため、地球温暖化対策推進法により、温室効果ガスの排出削減対策などの緩和策は進められてきていますが、気候変動の影響による被害を防止・軽減する適応策は法的に位置付けられていませんでした。しかし、平成30年に気候変動適応法が成立し、健康被害等の影響を可能な限り軽減する適応策が示されました。ミストによる暑さ対策はこの適応策として位置づけられたのです。

私たちがよく見かける水道直結式ミスト発生装置(以下、ミスト発生装置) は、夏の暑さ対策として、一般に広く普及しています。ミストは直接口に入ったり、吸引されたりする可能性が高く、ミストの細菌汚染は健康に直接影響を及ぼしかねません。そのため、ミストの水質の安全性が確保されていることが望ましいのですが、その維持管理方法についての指針等はなく、ミストの水質も未だに十分把握されていません。また、ミスト発生装置を適切に利用するための維持管理方法を検討した際に、ミスト中に遊離残留塩素濃度が一定以上あっても細菌に汚染されることがあることがわかっているのですが、その原因は未だに解明されていません。この原因を明らかにすることで、ミスト発生装置のより安心安全な使用が可能となるのです。また、学校衛生に関する研究の一環として、実際の学校施設に設置してあるミスト発生装置についても実地の調査研究を行っています。

熱中症対策としてのミスト発生装置をはじめとして、水環境をより安心、安全に有効活用できるように研究しています。

衛生薬学系研究室
准教授 濱武 通子