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医療薬学系研究室

世戸 孝樹|2020.08.01VIEW 724

医薬品の有効性・安全性向上に資する薬物動態研究

物質が生物にとって「有益な物質」となるか、はたまた「有害な物質」となるかは体の中に入る物質の量が非常に重要となっています。薬は適切に服用すれば病気を治す効果を示しますが、過剰量など不適切な服用により副作用を引き起こします。また、薬を適切に服用していても、内的な要因あるいは外的な要因で副作用が現れることもあります。薬の効果・副作用には体内での薬の動き(薬物動態)が強く影響しています。薬物動態学分野においては、薬物投与後の体内動態予測ならびに薬物の体内動態と薬効・安全性との関係に関する研究を進めています。
生体から経時的に採取可能な血液は、薬物の効果・副作用発現の予測において薬物の血中濃度推移はたいへん重要な役割を果たしています。一方で多くの薬物は組織に分布し、組織中のタンパク質(受容体など)と結合することで効果を発揮し、副作用を引き起こします。したがって、薬物の血中濃度推移のみならず、組織内濃度推移の把握はより詳細な医薬品の有効性・安全性の予測・評価に非常に有用です。しかしながら、直接的に薬物の組織内の薬物動態を把握することは難しいのが現状です。当分野では薬物投与後の血漿中濃度と in vitro 試験による薬物の組織移行性を基に組織内の薬物動態を予測しうる評価系の構築を試みています。さらに、構築した評価系を用いることで医薬品投与後の有効性あるいは安全性予測に有用であるかを検証しています。また、薬物の組織移行性に関する研究においては従来多くの実験動物が必要ですが、本研究を通じて、現在社会的に重要性が非常に高まっている動物福祉において、実験動物数の削減に貢献することも目標の一つとしています。
その他に、薬物の副作用低減を目指した研究や化学物質の安全性評価に関する研究なども行っています。

医療薬学系研究室
准教授 世戸 孝樹

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