資料請求はこちら

       

HOME > キャンパスライフ > 【記事】ドリンク中のビタミンB1を検出してみよう ~ チオクローム反応 ~

 

キャンパスライフ

|2021.10.20VIEW 10,133

【記事】ドリンク中のビタミンB1を検出してみよう ~ チオクローム反応 ~

みなさんは、エナジードリンクや栄養ドリンクといったドリンク剤を飲んだことはありますか?
エナジードリンクは「清涼飲料水」、一方、栄養ドリンクは「医薬品」または「医薬部外品」に分類されています。
また、商品によって成分にもわずかな違いがありますが、どちらも「疲れているとき」や「頑張りたいとき」の栄養補給を目的とした飲料です。

これらのドリンク剤の多くには、エネルギー生成や体づくりをサポートする栄養素であるビタミンB群が入っています。
なかでも、ビタミンB1は、糖質(炭水化物)をエネルギーに変えるときにはたらく補酵素であり、米を主食とする日本人には欠かせない栄養素です。
今回はドリンク剤の中に含まれるビタミンB1を検出する実験(チオクローム反応)をご紹介します。

ビタミンB1(別名:チアミン)は白色の固体であり、水に溶けても無色透明です。
しかし、アルカリ性条件下で酸化剤を加えると、ビタミンB1が酸化され「チオクローム」という化合物を生成します。
チオクロームはアルカリ性条件下で青藍色の蛍光を発するため、この蛍光の有無でビタミンB1が入っているかどうかを確認することができます。

具体的な手順

具体的には、以下のような手順で実験を行います。
手順①
試料(ドリンク剤) 1 mL に2 % 水酸化ナトリウム水溶液 1 mL、0.1 % ヘキサシアノ鉄 (Ⅲ) 酸カリウム(別名:赤血カリウム)1 mLを加えて混合します。

手順②
1-ブタノール 5 mLを加えて、2分間激しく振り混ぜた後、静置して二層に分離させます。

手順③
上層(ブタノール層)にブラックライト(紫外線ランプ)を当てて、チオクロームの発光を確認します。ドリンク剤にビタミンB1が入っていると、青藍色に発光するということになります。

手順②の操作は、水溶液(ドリンク剤)中に生成したチオクロームをブタノール層へ移行するための抽出操作です。
ドリンク剤は黄色の蛍光を発しているものが多く、ブラックライトを当てた際に黄色の蛍光に邪魔されて、チオクロームの青藍色が確認しづらくなるのを防ぐためです。ちなみにこの黄色の発光はビタミンB2に由来するものです。
ドリンク剤を飲んだ後にトイレに行くと尿が黄色くなることがありますが、これはビタミンB2が尿中に排出されているからです。

飲み過ぎに注意!

ドリンク剤を飲むことで肉体疲労時に手軽に栄養補給ができます。
しかしビタミンB群は水溶性ビタミンですので、一度に多く摂取してもビタミンB2のように汗や尿に溶けて体外へ排出してしまうため、あまり効果的ではありません。
またドリンク剤にはカフェインが多く入っているものもありますので、飲みすぎないよう注意が必要です。
カフェインの過剰摂取による興奮、不安、震え、不眠症、吐き気等の健康影響が知られています。

オープンキャンパスで体験しよう!

紹介した実験は本学のオープンキャンパスで体験していただけます。
2021年に実施したオープンキャンパスの参加者や、その保護者にもきれいな蛍光を見て楽しんでいただけました。
オープンキャンパスではこの実験以外にも様々な実験や体験ができますので、ご興味のある方は是非ご参加くださいね。

執筆教員紹介

職位:講師
氏名:井戸 章子
専門分野:衛生化学・公衆衛生学分野(衛生化学、環境化学)

こんな記事も読まれています