岐阜医療科学大学薬学部|薬学科

資料請求はこちら

HOME > 教員コラム > 「軟膏」を用いてがん性創傷に挑む!

「教員コラム」カテゴリの記事一覧

教員コラム

重山 昌人|2020.07.17VIEW 71

「軟膏」を用いてがん性創傷に挑む!

「軟膏」を用いてがん性創傷に挑む!

現在のがん治療は手術療法・放射線療法・化学療法が主流で、近年は免疫療法も注目されています。その中で最も薬剤師の役割が大きいのが「化学療法」で、殆どの病院が医師・薬剤師・看護師らによるがん化学療法チームを結成して治療に当たります。がん治療に関わる全ての薬に対して高度な知識や技能を持つ薬剤師の存在なくして、治療を行うことは不可能です。また、外来通院で治療を受けるがん患者を対象とした薬剤師外来では、薬剤師ががん化学療法の必要性や副作用について、情報提供を行うことで、円滑な治療継続を支えているのです。

薬剤師がその力を発揮するのは、治療中だけではありません。がん治療の後も再発・転移の恐怖を抱えながら生活する患者の精神的サポートも重要です。その一助を担っているのがモーズペースト。がんが増殖し皮膚を破って創傷を形成するような腫瘍の自壊が起こった場合、私たちが新規開発した軟膏「改良型モーズペースト」を塗布することで、自壊創が伴う出血や不快な臭いなどの軽減や、増殖したがん細胞を除去して精神的苦痛を緩和することが可能です。モーズペーストとは、1930年代にアメリカの外科医Frederic E. Mohs氏が考案した軟膏で、日本でも入手可能な薬剤を用いる方法が30数年前に提唱されました。やがて全国に広まるも、経時的な物性変化など製剤学的問題点が有り、臨床現場では苦慮しているとの報告が散見されました。これを改善すべく他大学教授と共に利便性の高い新規製剤の設計を行い、8年以上にわたって開発したのです。現在は国内の多くの病院内で改良型モーズペーストが調製・臨床使用されており、がん患者のQOL(生活の質)を改善する緩和ケアとして役立っています。更に改良を加えて新規製剤設計したモーズペーストを、製薬メーカーと共同研究を行い、市販化に向けた臨床研究も進行中。がん患者とその家族の心に寄り添い、軟膏を用いてがん性創傷に挑戦し続けます。

職位・学位:教授・博士(薬学)
氏名:重山昌人
専門分野:病態・薬物治療学分野(医療薬学 病態・薬物治療学 製剤学)
担当科目:病態・薬物治療学、臨床薬剤学 悪性腫瘍治療学、フィジカルアセスメント論、チーム医療論、チーム医療演習、医学概論、薬学入門、実務実習、大学院講義

こんな記事も読まれています