資料請求はこちら

       

HOME > 研究者紹介 > 生物系研究室 > 細胞内シグナル伝達系を標的とした医薬品および機能性食品の開発

 

生物系研究室

松原 守|2020.07.31VIEW 1,841

細胞内シグナル伝達系を標的とした医薬品および機能性食品の開発

私たちヒトを構成する一つ一つの細胞は、外界からの刺激を受け取り細胞内シグナル伝達系という「ミクロの伝言ゲーム」の仕組みで情報が正確に伝わります。そして、その結果として様々な細胞機能が維持され健康が守られています。しかし、このシグナル伝達系が破綻すると、細胞は異常をきたし様々な疾患の原因となってしまいます。従って、シグナル伝達系で異常になった因子を解明することにより各疾患の発症メカニズムの理解を深め、さらには疾患の治療法や予防法の開発などに貢献できます。

私の研究プロジェクトでは、このコンセプトに基づき以下の2つのテーマを進めています。

1.がん、脳神経疾患に対する分子標的治療薬の開発
多くのがんにおいては、細胞内シグナル伝達系の特定のタンパク質に異常がみられます。例えばプロテインキナーゼと呼ばれるリン酸化酵素など重要なシグナル伝達タンパク質の機能が変化します。従って、これらの変化したタンパク質を標的にすれば副作用の少ない分子標的治療薬を開発することができます。がん以外にも、脳神経疾患であるパーキンソン病、アルツハイマー病、統合失調症の原因となるシグナル伝達タンパク質を標的とした治療薬の開発を試みています。

2.予防医学に貢献する機能性食品の開発とその作用メカニズムの解明
高齢化社会の急速な進行とともに筋委縮(サルコぺニア)、骨粗鬆症、変形性関節症など様々な疾患が増加しています。健康に良いといわれている食品成分が、細胞内シグナル伝達系のどのタンパク質に作用するかを明らかにすることで、科学的に根拠のある機能性食品を開発することができます。実際に、加齢に伴う筋委縮の予防を目的とする機能性食品の開発では、卵白由来のペプチド成分が有効であり、運動と同じ作用メカニズムで筋肥大を促進することが分かりました。他にも、骨粗鬆症、変形性関節症に対して効果のあるもの、抗酸化作用や抗炎症作用をもつ食品中の機能性成分を探索しています。

生物系研究室
教授 松原 守

こんな記事も読まれています