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生物系研究室

村上 泰介|2020.08.01VIEW 59

宿主生体防御、免疫における抗菌ペプチドの作用機序の解明

私達の体は、外界からの病原微生物の侵入に対して、自然免疫と獲得免疫という防御機構を有しています。侵入してきた病原微生物にいち早く応答し、排除しようとする自然免疫に対して、抗体や細胞障害性T細胞などリンパ球が介在し、侵入してきた相手によって応答が起こるのが獲得免疫です。抗菌ペプチド(antimicrobial peptides)は私達の体の細胞(上皮組織や好中球)によって産生され、感染局所で侵入してきた微生物に対して強力な抗微生物作用を示し、自然免疫の一翼を担う物質として当初発見されてきたものです。一方、近年、これらのペプチドが単に抗菌性物質として働くだけでなく、私達自身の細胞、例えば単球・マクロファージ、リンパ球、樹状細胞、マスト細胞などの免疫担当細胞を活性化し、また、種々の細胞に作用してサイトカイン・ケモカイン生成を誘導することによって、自然免疫と獲得免疫の橋渡し役として働くことが明らかになりました。そのため、抗菌ペプチドは生体防御ペプチド(host defense peptides)とも呼ばれています。

哺乳類の細胞が発現する抗菌ペプチドは大きくディフェンシンとカテリシジンの2グループに別れています。そのうちカテリシジンはヒトでは1種のみ知られ、LL-37と呼ばれています。これら抗菌ペプチドが病原微生物、特にグラム陰性菌のエンドトキシン(LPS)に対して強力な中和能を有することから、敗血症・エンドトキシンショックへの関わりについて現在、研究を進めています。また、これまでに好中球に対してLL-37がアポトーシスを調節し、炎症性サイトカインの産生を伴うピロトーシスを抑制することなどが分かってきています。さらに、LL-37が好中球のNETosis(図1 好中球がNeutrophil extracellular traps; NETsと呼ばれる自身のDNAに様々な抗菌性物質が付着した網状の物質を細胞外へ広げて病原微生物を絡め取る、細胞死を伴う現象)に対しても調節作用を示す可能性があり、現在その生体での作用、意義について研究を進めています。

生物系研究室
准教授 村上 泰介

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