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医療薬学系研究室

松井 敦聡|2020.08.01VIEW 732

神経栄養因子様作用を基盤とした神経精神疾患治療薬の研究

1950年代にクロルプロマジンの臨床導入により始まった神経精神薬理学は、その発展に伴い、抗精神病薬、抗うつ薬、抗パーキンソン病薬、アルツハイマー病治療薬などを創出し、神経精神疾患に対して一定の治療成果を示してきた。しかしながら、未だこれらによって改善されない多くの患者が存在し、神経精神疾患の根本的な病因の解明もできていない。さらに、現代社会における高齢化やストレスの増加により、うつ病、認知症などの神経精神疾患が急増しており、神経精神疾患の発症機構の解明と治療法の開発についてのさらなる研究が要求されている。

神経栄養因子は、神経細胞の成長、生存維持、機能に関わり、パーキンソン病の様な神経変性疾患やうつ病や統合失調症の様な精神疾患の治療への応用が注目されている。しかし、神経栄養因子は高分子の蛋白質であり、末梢から投与しても脳に移行しないため、医薬品とすることは困難である。そこで、天然物由来化合物あるいは既知薬物から神経栄養因子作用を有する低分子化合物を探索し、神経精神疾患治療薬として応用することを目指す。

一方、神経栄養因子の一つである脳由来神経栄養因子(BDNF)は、中枢神経系において神経の発生や機能調節に働き、神経精神疾患との関わりが注目されている。また、BDNFとその受容体TrkBは、骨格筋や脂肪細胞、心臓など非神経系組織においても発現しており、その役割について興味深い知見が集積されつつあるが未知の部分も多い。そこで、神経系・非神経系におけるBDNFの機能を解明し、創薬ターゲットとしての可能性を追求する。

医療薬学系研究室
准教授 松井 敦聡

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