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教員コラム
西村 英尚|2020.10.16VIEW 55,547
乳幼児の服薬指導 ―薬を飲みやすくするコツ―
子どもが薬を飲むのを嫌がるのはよくあること。粉薬や錠剤、シロップ剤と様々な剤形がある中で、子どもが服用するのに最も厄介なのが「粉薬」です。ざらつきや苦みがあっても水で飲める子は問題ありませんが、どうしても飲めない場合には、水以外の飲食物と一緒に飲み合わせる方法があります。
例えばインフルエンザの際に処方される「タミフルドライシロップ」は原薬特有の苦みがありますが、一緒に服用するのにお勧めなのがココアやチョコレートアイス。味の濃いものであれば薬の苦みを隠してくれます。他にも、ヨーグルトやオレンジュース、スポーツドリンク等と混ぜても苦みを感じにくくなり、さらに市販の甘い味がついたゼリー状のオブラートも服薬を補助してくれます。
特に強い苦みを持つことで有名なのが、マイコプラズマ感染症等の治療薬に使われるマクロライド系抗生物質の「ジスロマック細粒」や「クラリスドライシロップ」等。大人でもとても苦く感じるこれらの薬を子どもに飲ませるのは実に大変で、コンデンスミルクやプリンに混ぜながら服用させるのがポイントです。しかし、飲み合わせの相性が良くないものがあることにも気を付けなければいけません。
タミフルドライシロップ服用の際にお勧めの例として挙げたヨーグルトやオレンジュース、スポーツドリンク等の酸性の飲食物に混ぜると、苦い薬効成分が出現してしまい、かえって苦みが増してしまいます。
また、1歳未満の乳児に投与する際にも注意が必要です。ボツリヌス症の心配があるハチミツは絶対NGですし、薬を栄養源となるミルクやごはんに混ぜてしまうと味が変わり、その後ミルクやごはんを嫌ってしまうおそれがあるので避けなければなりません。
内服薬は水での服用を前提に作られており、水と一緒に飲むのが理想ですが、嫌がって飲まなければ意味がありません。薬剤師は患者さんが一日でも早く回復するために的確なアドバイスをすることで親の不安を減らすことにも貢献ができるでしょう。
執筆教員紹介
職位・学位:准教授・博士(医学)
氏名:西村 英尚
専門分野:臨床薬学分野(糖尿病学・医療安全学・地域医療学)
担当科目:薬学概論、薬学入門、アカデミック基礎セミナー、早期体験実習、病態薬物治療学、薬学基礎セミナー、臨床薬学剤、処方解析演習、実務実習プレ教育、チーム医療演習、フィジカルアセスメント、症候学、薬局実務実習、病院実務実習、臨床薬学演習、在宅・地域医療薬学演習、総合薬学特論、特別研究
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