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教員コラム
西村 英尚|2020.07.17VIEW 2,784
臨床薬剤師は患者の治療にどう貢献しているの?
症状もなく静かに進行し、気が付くと合併症が発症しているケースも多い生活習慣病。予防に欠かせないのが食事療法と運動療法ですが、検査値がなかなか改善しない場合は薬物療法に頼るほかありません。生活習慣病の治療薬は長期服用中に多剤併用(ポリファーマシー)となり得ることから、薬剤師の関与がとても高い領域です。
特に糖尿病は、薬物治療の役割が非常に大きい疾患です。例えば1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病など成因分類によって内服薬(7種)か注射薬(2種)または併用療法による薬剤選択、高齢者であれば低血糖を起こさない薬剤選択、認知機能が低下していれば訪問看護の利用の有無等によって、治療薬の種類や注射薬の注射回数を変更しなければなりません。
糖尿病治療薬は種類が多く治療方法が複雑なことからも薬剤師の存在意義を高めています。
この時に頼りになるのが「臨床薬剤師」。病院薬剤師の業務のうち“薬剤管理指導業務”を担い、医薬品に対する高度な知識を持ったスペシャリストです。
臨床薬剤師は、入院患者の内服薬や注射薬の使用歴をチェックし、過去に副作用の影響が出た経験がないか等を調査します。これは、服薬指導の上で薬剤の重複投与の確認や副作用防止の重要なデータとなります。
また、臨床症状が似た患者に同量の薬剤を投与しても治療効果や副作用発現が異なることもあるため、様々な臨床データを収集・解析することで個々の患者に適切な投与設計や効果予測に基づいて
医師に処方提案をします。さらに専門的な立場から医師の処方箋をチェックして疑義照会を行ったり、チーム医療の一員として医師や他の医療スタッフとのコミュニケーションにより情報を共有します。
このように、臨床薬剤師は、個々の薬剤の特徴について熟知した上で患者の社会的背景や病気の進行状況を考慮し、薬学的知見に基づいて患者に寄り添う必要があります。
執筆教員紹介
職位・学位:准教授・博士(医学)
氏名:西村 英尚
専門分野:臨床薬学分野(糖尿病学・医療安全学・地域医療学)
担当科目:薬学概論、薬学入門、アカデミック基礎セミナー、早期体験実習、病態薬物治療学、薬学基礎セミナー、臨床薬学剤、処方解析演習、実務実習プレ教育、チーム医療演習、フィジカルアセスメント、症候学、薬局実務実習、病院実務実習、臨床薬学演習、在宅・地域医療薬学演習、総合薬学特論、特別研究
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