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~アンチ・ドーピングで頼れるスポーツファーマシスト~
教員コラム
松原 守|2020.07.17VIEW 3,755
アスリートと薬の付き合い方は?
~アンチ・ドーピングで頼れるスポーツファーマシスト~
スポーツ界では、競技能力を高める禁止薬物の使用有無等を調べるドーピング検査が行われています。対象はプロ野球やJリーグ、更には高校生も参加する国体など幅広く、抜き打ちで行われます。しかし近年、市販薬やサプリメント等によりドーピング検査で陽性になる事例が後を絶ちません。いわゆる「うっかりドーピング」です。アンチ・ドーピングのルール上、アスリートは身体に摂取するものに全責任を持たなければなりません。
市販の風邪薬の大半に禁止薬物指定の成分(例えば鎮咳作用を持つエフェドリンやメチルエフェドリン等)が含まれます。世界アンチ・ドーピング規程にある禁止表国際基準は年に1回改定され、禁止薬物や禁止方法が科学の進歩に伴いアップデートされています。
市販のサプリメントの中には、製造過程で禁止物質が混入したり、原材料に禁止物質が含まれる場合があります。そこで、サプリメントを検査して混入の有無を調べ、安全に使用できることを保証するアンチ・ドーピング認証プログラムがあり、インフォームドチョイスと呼ばれています。現在、インフォームドチョイス認証を取得したブランドは世界で200以上、製品は1,000近くに及びます。お馴染みの栄養ドリンクの多くは(例えばリポビタンD)厳しい基準をクリアして認証を取得したのです。
アスリートが安心して競技できるようアドバイスする専門家として、薬剤師免許を有するスポーツファーマシストがいます。この資格の保有者は最新のドーピング防止規程に関する正確な知識・情報を持ち、アスリートに薬の正しい使い方の指導や薬に関する健康教育などの普及・啓発を行います。ドーピングにはどんな行為・リスクがあるのか、インフォームドチョイス認証のサプリメントや栄養ドリンクには何があるのか等の疑問に答えるスポーツファーマシストは、アスリートにとってアンチ・ドーピングにおける最も「頼れる人」なのです。
執筆教員紹介
職位・学位:教授・博士(薬学)
氏名:松原 守
専門分野:生化学・分子細胞生物学分野(蛋白質科学、医薬品開発、細胞生物学、機能性食品開発)
担当科目:生化学Ⅰ、分子生物学、細胞生物学、薬学基礎実習、生物系実習、生物系薬学演習、特別研究Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、総合薬学特論Ⅰ・Ⅴ)
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