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薬学臨床系研究室

安田 公夫|2020.08.01VIEW 1,295

臨床課題を追求する卒業研究の推進とライフワークのデータ化

近年は卒業研究生を病院やクリニックあるいは薬局などの医療現場に送り、臨床課題を第一線で活躍している医療者と共同研究1-7)したが、本学でもこの推進を図る。前職は病院薬剤師。最後は岐阜県病院薬剤師会会長と薬剤師会副会長を併任したことを契機に生涯テーマを『薬薬連携の推進』とし、様々な取り組みをしている。最近は岐阜赤十字病院薬剤部顧問として岐阜北地区薬薬連携代表者会議を立ち上げ、院外処方箋の疑義照会のデータ集積と解析、これを活かした疑義照会事前合意に取り組んで実現化し、更にこれを岐阜市薬剤師会全体の取り組みに拡大して、現在データの解析に取り組んでいる。

最近の研究の一端を紹介する。前学の卒業研究生で実務実習の終了直前、病院に向かう途中で暴走車に撥ねられ、一命は取り留めたが高次脳機能(記憶)障害が残り、休学して長期入院とリハビリを受け、事故から4年後に6年生への復学を果たした学生との取り組みである。卒業論文では学生が記憶障害者用お薬手帳を自らの経験から創案したので、後任教授と相談して障害者とその家族を対象にこのお薬手帳案をアンケート調査することを指導・支援し、結果を卒業論文として発表させた。医療系教員達にこの創案を絶賛され、自信を得て日本薬学会にも本人が発表。高次脳機能障害によるハンディは大きく、薬剤師になることは諦めたが、彼女の創案は薬学雑誌に永遠に残ることになった7)。本学でも臨床課題を追求する研究に取り組んで行く。

<参考文献>

  1. 夜勤時におけるバンコマイシン初期投与設計体制の確立とその成果、医療薬学、 40 (2)、85-93 (2014)。
  2. Influence of serum albumin during opioid rotation from morphine or oxycodone to fentanyl for cancer pain. Pharm. Bull., 37 (12), 1860-1865 (2014).
  3. Risk analysis for cisplatin-induced nephrotoxicity during first cycle of chemotherapy. J. Clin. Exp. Med., 9 (2), 3635-3641 (2016).
  4. Neutropenia as a prognostic factor and safety of second-line therapy with S-1 for advanced or recurrent pancreatic cancer. Mol. Clin. Oncol., 5 (3), 283-288 (2016).
  5. Neutropenia as a prognostic factor and safety of second-line therapy with S-1 for advanced or recurrent pancreatic cancer. Clin. Oncol., 5 (3), 283-288 (2016).
  6. Effect of renal function on pemetrexed-induced haematotoxicity.Cancer Chemother. Pharmacol., 78 (1), 183-189 (2016).
  7. Comparison between hypersensitivity reactions to cycles of modified FOLFOX6 and XELOX therapies in patients with colorectal cancer. Cancer Chemother. Pharmacol., 79 (5), 1021-1029 (2017).
  8. 記憶障がい患者に対する服薬支援のあり方と新たなお薬手帳の提案、薬学雑誌、139、1349-1356 (2019)。

薬学臨床系研究室
教授 安田 公夫

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